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企業におけるIP電話活用の最新動向

 企業にとって、通信コストの削減は大変重要な課題です。この課題を解決するものとして、IP電話が大変注目されています。新聞や雑誌などでも、「A社がIP電話を全社的に導入」などという記事を頻繁に見かけるようになりました。今回は企業におけるIP電話活用の最新動向について、わかりやすく解説します。

IP電話とは

 IP電話とは、一般的にネットワークの一部又は全部において、IPネットワーク技術を利用して提供する音声電話サービスと定義されています。企業における従来の電話(加入電話)は、NTTなどの電気通信事業者が保有する電話交換機と、企業自身が構内に設置する電話交換機(つまりPBXやビジネスホン)を電話回線で接続して、音声を電話専用のネットワークを経由することで相手に伝える仕組みとなっています。一方IP電話は、音声をLANやインターネットなどのIPネットワークを活用して伝えるものです(図表1)。
 つまりIP電話では、音声通信のための専用装置である電話交換機ではなく、さまざまなデータ通信で既に利用されているデータ通信回線や機器(ルータなど)を活用して電話をすることが可能となるため、従来の電話に比べてさまざまな面で安く、また便利になることが期待されます。そのため企業をはじめ一般消費者からも大変注目を浴びるようになりました。

IP電話の基本的な仕組み
 ※図をクリックすると拡大表示されます

企業におけるIP電話導入状況

 企業の電話利用は大きく分けて外線・内線の二つに分かれます。そのいずれにおいてもIP電話が導入され始めています。総務省が2006年4月に発表した「電気通信サービスの需要動向調査」によれば、すでに企業におけるIP電話導入率は外線で12%、内線では33%に達しています(2005年10月調査時点)。今後の導入予定(および検討中)を含めると外線で4割の企業が、内線で6割の企業がIP電話化を予定・検討しているという状況です。

 このように期待が高まる企業のIP電話について、次項でその種類と導入方法、メリットをご紹介しましょう。

企業におけるIP電話導入方法

[1]内線でIP電話を活用する方法

 企業の内線通話には、オフィス内の内線通話と、拠点間の内線通話の2パターンがあります。従来これら内線通話は電話専用の設備(PBX/ビジネスホン、電話機)を用いた電話専用ネットワークを活用していました。最近はこれらの通話をIP電話化する企業が増えています。

 内線通話へIP電話を導入するとさまざまなメリットが得られます。まず内線通話用の配線設備をLAN(などのデータ通信回線)に集約でき、大変シンプルになります。また全てがIP化されているため、通常業務で用いていたアプリケーションなどとの連動も容易になります。さらに、複数の拠点を持つ企業はこれまで、拠点間の内線通話のために一般の加入電話や専用回線を用い、内線通話コストの負担が大きいケースが多かったのですが、これがIP電話化して拠点間のデータ通信回線に集約されると、内線通話料が無料となり、大幅なコストダウンが実現します。そのため最近では、PBX(ビジネスホン)を更改するタイミングや、拠点間のデータ通信回線を見直すタイミングなどに併せて、内線通話をIP電話化してしまう企業が増えています。
企業におけるIP電話導入パターン(1)オフィス内通話のIP電話化例
 ※図をクリックすると拡大表示されます

 内線通話をIP電話にするためには、既に自社で電話設備(PBX/ビジネスホン、電話機)を所有している企業では、音声信号をIPパケットに変換する役割を担うVoIPゲートウェイと呼ばれる機器を準備する必要があります。また既存の電話設備をIP電話対応の機器(呼制御サーバ、IP電話機など)に置き換えてしまうやり方もあります(図表2)。いずれにせよ、企業内の設備やネットワークを更改することによって実現するソリューションですので、IP電話化のファーストステップとして取り組む企業も多いようです。


[2]外線でIP電話を活用する方法

 外線電話としてIP電話を活用する方法としては、通信事業者やISP(インターネットサービスプロバイダ)が提供しているサービス、いわゆる「IP電話サービス」を活用する方法が一般的となっています。外線IP電話を導入する最大のメリットは通話料が下がることです。多くのサービスでは従来の電話料金よりも安価な通話料が設定されています。また通話料は距離に依存しない全国一律料金の料金体系となっていますので、特に長距離電話利用が多い企業はメリットが大きくなります。また同一名義の事業所(または同一サービス事業者に加入している事業所)への通話は無料に設定されている場合もあり、大変お得です。
 外線のIP電話導入に必要な設備は、例えば既に自社で電話設備(PBX/ビジネスホン、電話機)を所有している企業では、VoIPゲートウェイとルータだけでOKです。またIP電話対応のPBXやビジネスホンを新たに購入して利用することももちろん可能です(図表3)。またPBXに相当する呼制御サーバを通信事業者に委ねる(自社では持たない)タイプ、いわゆる「IPセントレックス」型の利用方法もあります。

企業におけるIP電話導入パターン(2)外線のIP電話活用例
 ※図をクリックすると拡大表示されます

 これら設備に加え、データ通信回線が必要になります。アクセス回線としてはADSLや光回線などのブロードバンドを活用します(その他広域イーサネットなど企業で活用しているさまざまなデータ通信回線を活用することもできます)。

 なお、IP電話導入時には一つ注意事項があります。それはIP電話で利用する電話番号です。IP電話にはIP電話専用の番号である「050」から始まる電話番号を利用するタイプのサービスがあります。このタイプのサービスは、個人ユーザを中心に普及が進んでおり、総務省の統計によると、平成18年3月末で1,000万番号以上が利用されています。ただ050番号を利用したIP電話サービスでは、110番や119番などの緊急通報が利用できません。また現在加入電話で用いられている一般的な電話番号(03、045などの市外局番から始まる電話番号のこと、いわゆる0AB-J番号)とは異なる番号帯を使うため、従来の加入電話をIP電話に移行するユーザは、電話番号を変えなければなりません。

 そこで通信事業者は、IP電話に移行する際、0AB-J番号をそのまま活用できるIP電話サービスの提供を始めています。例えばNTT東日本の「ひかり電話」では、現在利用している加入電話の電話番号をIP電話へ移行してもそのまま使え、また110番や119番に電話することも可能です。つまり加入電話と同様の使い方が実現します。さらに月額基本料金が500円(税込525円)のプランも設定されており、毎月の固定料金を安くすることも可能です。

 0AB-J番号を利用するIP電話サービスを企業に導入する場合も、基本的にはこれまで紹介したとおりの方法・設備で利用可能です。NTT東日本では、0AB-J番号を利用する企業向けIP電話サービスとして「ひかり電話ビジネスタイプ」、および「ひかり電話オフィスタイプ」を提供しています。「ひかり電話ビジネスタイプ」は比較的回線数の多い企業向けのサービスで、外線が安くなるだけでなく、拠点間通話も無料となります。一方「ひかり電話オフィスタイプ」は、比較的回線数の少ない企業に最適なIP電話サービスとして提供されています。またコールセンターのように大規模で高度な付加機能が必要とされる電話システムにもIP電話が利用され始めており、NTT東日本ではこれに対応して、「コールセンター向けIPセントレックス機能」も提供しています。

 以上紹介してきたように、IP電話は企業にとってもさまざまなメリットをもたらすものとして期待されます。しかし実際には、企業の電話利用方法や電話設備の保有状況は個々で異なるため、IP電話の導入方法や得られる効果も異なります。したがってIP電話を導入する際は、IP電話サービスの提供事業者などと相談しながら、自社にとって最適な導入方法を検討することが重要となります。

 執筆 (株)情報通信総合研究所 研究員 竹上 慶

<本記事の関連情報>
→導入事例【(わが社のIT化 第1回)IP-PBXとIP電話の導入】
→導入事例【(わが社のIT化 第4回)IP電話の導入】
→ひかり電話オフィスタイプ
→ひかり電話ビジネスタイプ
→IP電話ソリューション【ひかり電話オフィスタイプ】
→IP電話ソリューション【ひかり電話ビジネスタイプ】
→モバイルソリューション【ひかり電話ビジネスタイプ】

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