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ビジネスに直結ー映像コミュニケーションの新時代

 成熟社会と言われる今日、企業にとって従来のマス市場を対象としたビジネスのあり方は大きく変わってきています。そのような状況の中でインターネット上のホームページ(Web)を利用した新たなビジネスが最近注目を集めています。今回は最近のWebビジネスの動向についてわかりやすく解説します。

ビジネスでのWeb利用

 消費水準が先進国でもトップクラスにある日本は、高度経済成長期以降の商品を出せば売れるという時代から、消費者の多様なニーズに合わせて商品を提供するというマーケティング戦略が求められる時代になっています。そのような流れに合致する形で普及してきたのが、企業によるホームページ(Web)の活用です。
 これまでの企業Webは、企業理念や事業内容、商品・サービスの紹介などに活用されていました。企業から顧客に直接情報を伝えるための手段であったわけです。
 最近では、多くのWebで商品を購入できるようになっています。Web上で顧客は従来の流通ルートを使わず、全国どこからでも自分の欲しい商品を探し、欲しいときに買えるようになっています。Webは流通段階の中抜きを実現し、生産者と消費者を直接つなげる手段を提供することとなりました。また、多くの卸売事業者が楽天市場などのショッピングサイトを販売チャネルとして積極的に利用することにより、圧倒的な多品種低価格販売を実現し、電子商取引で成功しています。

Web利用は新たな段階へ 〜Web2.0の時代〜

 現在、Webを利用したビジネスは、顧客とのつながりをより積極的に使う、ないしはそれを今まで以上に活かしたビジネスを考えようとする、新たな段階に入っています。
 そのように志向する企業からいまとても注目を集めているのが「Web2.0」です。最近よく耳にするようになったこの「Web2.0」という言葉は、現在Web上で起こっている様々な変化の総称と言えます。その変化の内容は、新しい技術やサービスの出現(ブログ、SNS等)、それによってもたらされるWebの利用方法の変化、それを活用した新たなWebビジネスの展開など広範囲に及びます。それでは、Web2.0が実現するネット上の新しいビジネスとはどのようなものでしょうか。いまWebビジネスの世界では何が起こっているのでしょうか。
 Web2.0がそれ以前と大きく違うのは、ロングテール・ビジネスや口コミマーケティングが可能になったことです。 ロングテール・ビジネスは、Web2.0時代のビジネスの特徴を表す言葉としてよく使われています。従来のビジネスでは、基本的な売上構造として、2:8の法則(あるいはパレートの法則)が成立することが知られています。これは、売れ筋の上位20%の商品が全体の80%の売り上げを占めていることを経験的に捉えた法則です。また、こうした環境では、売れ筋以外の80%の商品に対しては、費用対効果を考えると積極的なプロモーションなどは行えないのが一般的です。 ところが最近のWebビジネスでは、売れ筋以外の商品(ニッチ商品)の情報を、潜在的な購買層に安価かつ的確に届けることができます。その結果、潜在的な購買層がニッチ商品を新たに購入するようになり、売れ筋以外の80%の商品(図1のようにグラフ化した際の「尻尾」の部分)の売上高が無視できないほど大きくなってきています。これが、「ロングテール」(=長い尻尾)です。つまり、Webビジネスでは、これまで軽視されてきた売れ筋以外の商品も積極的なビジネスの対象に組み込むことができるようになり、新たなビジネスモデルが生まれるようになったのです。このため「ロングテール」はWeb2.0時代の象徴的な言葉としてよく使われます。

図1 ロングテールとは

  次に、口コミマーケティングについてですが、これは文字通り人の口から口へ伝えられることをマーケティングに利用し、それによって商品情報を広めるもので、Buzz(バズ)マーケティングとも言われています。現実の世界での口コミは実際の行動範囲の制約を受けることから、その影響は狭い範囲にとどまっていました。ところがWebを利用すればより広範囲な人がその口コミ情報にアクセスすることができるため、その情報の影響範囲も広がります。このため、Web2.0時代では口コミマーケティングが有効な手法になってきているのです。
Web2.0時代のサービス

 ロングテール・ビジネスや口コミマーケティングが可能になった背景には、Webが以下の3点において大きく進化したことがあげられます。

  1. 顧客と企業、顧客同士の双方向(インタラクティブ)なコミュニケーションが可能になったこと。
  2. 必要としている人に必要としている情報を的確に伝えられるようになったこと。
  3. 顧客個々の商品評価を活かせるようになったこと。

  これらの進化をもたらした具体的なサービスを説明すると、まず第一点目の「顧客と企業、顧客同士のインタラクティブなコミュニケーション」を可能にした代表的なサービスとしては、ブログやSNSが挙げられます。
ブログは誰でも簡単に日々の出来事を記録しネット上に公開できるサービスで、gooNiftyなど主要ISPをはじめ様々な事業者が提供しています。読者が記事単位でコメントをつけたり、リンク(トラックバックといいます)を張ったりすることが容易なことから、個人ユーザを中心に大きく広がりました。一方、SNSは会員制のブログという捉え方もできるサービスです。有名なSNSサイトとしては、mixi(ミクシー)やGREE(グリー)がよく知られており、急速に会員数を拡大しています。 こうしたトレンドを受け、最近ではブログやSNSをビジネスに活用する例が出てきています。例えば、商品の開発者自身が、ブログやSNSの読者(=製品の購入者)にその商品の特徴や開発者ならではの利用方法を伝えるような事例が見られます。また、それらの記事に読者が直接コメントしたり、トラックバックを利用して自分のブログにコメントを書くことにより、企業は商品に対する消費者の評価がダイレクトに分かるようになりました。

ブログ・SNSの利用者数予測

 第二点目の「必要としている人に必要な情報を的確に伝える」ことが可能となった背景には、インターネット広告の高度化があります。代表的なものに検索連動型広告といわれるものがあります。これは、GoogleやYahoo!などの検索サービスを利用した際、検索結果画面に検索キーワードと関連のある広告を表示する広告サービスであり、アドワーズ広告オーバーチュア広告が有名です。
 こうした新しい広告技術により、売れ筋以外の商品であっても、その情報がそれを必要とする人に的確に提供される道を開きました。また、広告費用が従来に比べ安いことや費用対効果を正確に把握できることから、従来のテレビや新聞・雑誌等へのマス広告を利用できなかった企業にも使える有効な手段になったのです。
 さらに、ブログやSNSでは読者間の横のつながりも無視できないほど大きな力を持っています。ブログやSNS上での商品評価は読者間で共有され、広まっていくため、レコメンデーション(推薦)の機能を果たすようになるのです。これは、企業側から見れば、第三点目の「顧客個々の商品評価を活かす」ことにつながります。こうした背景から、口コミマーケティングは企業のマーケティング戦略上、重要な手段として注目されるようになってきているのです。

インターネット広告市場の予測

本格的なWebビジネスの到来

 ブロードバンド化が急速に進み、多くの顧客が積極的にWebを使いこなそうとしている現在、企業に問われているのはこのインフラをどのように自社のビジネスに活かすかという点です。
 今後は、一方通行の情報発信ツールとしてのWeb利用から、マーケティング戦略の中核に位置づけ、顧客との双方向のコミュニケーションを視野に入れた利用形態が急速に普及していくことになるでしょう。これにより、自社製品の効果的な宣伝とそれに伴う販売拡張が可能になるばかりでなく、顧客から発せられる、または顧客間で発せられる様々な情報を活用することができるようになり、製品開発や顧客サービスの向上に不可欠なヒントを得られることになります。

執筆 (株)情報通信総合研究所 上席主任研究員 野口正人

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