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トップの輪 経営者が語る企業経営とIT化

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どんな企業でも、利益に応じた社会貢献が問われる時代になると思います。

第2回目は、横浜を中心に、情報セキュリティ大学院大学や情報科学専門学校等を展開する、岩崎学園の岩崎理事長にご登場いただきました。

岩崎幸雄氏 岩崎幸雄
1978年、学校法人岩崎学園に奉職。岩崎博物館(ゲーテ座記念)館長、情報科学専門学校(横浜西口校)学校長、同新横浜校学校長、横浜デジタルアーツ専門学校(旧岩崎ファッション工科専門学校)学校長などに就任。1998年、学校法人岩崎学園理事長に就任、現在に至る。
時代と共に変わる、社会貢献の基準

Photo―― IT系の情報科学専門学校、情報セキュリティ大学院大学、あるいはデザイン系の横浜fカレッジ、横浜デジタルアーツ専門学校、さらには医療系の横浜リハビリテーション専門学校と、幅広い領域の学校を運営されていますが、岩崎学園様のいちばんの特徴はどのような点でしょうか?

 人材育成機関として、どうやって地域社会に貢献できるのか、それを第一に考えています。しかし、時代と共に社会的な貢献度というのも変化するものです。今まで貢献してきたから、今後もそのままでいいというわけにはいきません。常に時代を見て、正しいかどうかのチェックは欠かせません。

―― 人材育成における、現在のテーマは何でしょうか?

 少子化が最大の課題ですね。若年層がどんどん減り、産業基盤を支える若者が少なくなってきている。当然生産性が落ちてきます。ですから、若者の「人間力」で生産性を向上させていくような教育をする必要があるんです。

 これまでの学校は、限られた時間の中で教育し、卒業させるだけで良かったかもしれません。しかし今は、勉強だけでなく「人間力」の醸成によって産業基盤を支える生産性の向上に貢献できる人材をいかに送り出せるか、そこが問われている時代だと思います。

先駆けとなった情報科学専門学校の設立

――情報処理の学校としては、先駆けとなる1983年の設立だそうですが、かなり早い時期にスタートされていますね。

 高度成長期を迎えると、京浜工業地帯として様々な工場ができて人口が激増し、800万人を超えました。しかし円高になり、製造業が海外へ移転。80年代前半には製造業が行き詰まってしまいました。

――いわゆるバブル前後で、日本の経済構造は大きく変わりました。

 そうです。だから、神奈川の次の時代の産業をどうするのか、800万人も集まった師弟達をどうするのか。当時の神奈川には、そういう課題があったんです。そして、その答えのひとつが、工業化社会から情報化社会へという流れです。そのためには、まず人材育成です。そういう使命感もあって、いちはやく開校したんです。

――次世代の産業と、それを担う地域にとって必要な人材とは何か。そのうえで、こういう人材が必要なんだという発想なんですね。

高齢化対策としてのリハビリ関連人材の育成

Photo――リハビリテーションの学校というのは、これまでと違う分野になりますが、どういう目的なのでしょうか。

 こちらは高齢化対策という点から考えたものですね。
 きっかけは、私自身が車いすで入院生活をしたことにあるんですよ。リハビリで歩けるようになって退院したのですが、大きな病院なのに、リハビリ患者をケアする理学療法士・作業療法士が全然足りない。自分の番がなかなか回ってこなかったんです。

―― ご自身のリアルな体験がきっかけになったんですね。

 ええ、それで退院してから調べてみると、この分野の学校は、神奈川には一つあるだけでした。それで、横浜リハビリテーション専門学校をつくったわけです。

―― 私も仕事でお伺いしたことがあるんですが、学生さんが外来者である私に挨拶してくれるんですね。とても明るい雰囲気でした。

 医療関係従事者ということで、面接も重視しています。礼儀正しく、挨拶もしっかりできるようじゃないといけません。

 また、リハビリの学校としては、はじめて駅前につくったんです。アクセスのよい場所になったことで、明るいイメージにもなりましたし、競争力の高い人材が集まってくれるようになりました。

9.11をきっかけにセキュリティに注目、大学院の設置へ

――最近では情報セキュリティ大学院大学を設立されています。こちらも非常に早いタイミングだと思うのですが。

 きっかけは、9.11のアメリカのテロでした。あのときは、夜通しテレビを見てました。リアルタイムで、あの事件を目の当たりにしたんです。そして、これは情報セキュリティをやらなくてはいけないと思ったんです。

――あの事件から情報セキュリティの人材育成機関を作ろうという発想につながったのですか?

 国境があってもテロが起こるのだから、国境がないネットワークでテロをやられたらどうなるのか。島国であっても、あまりにも日本は無防備だと。

 企業がネットワーク化されていくことはいいことです。しかし、セキュリティ対策をきちんとやらないと、設備投資をいくらしたところで、壊されるのは一瞬です。情報セキュリティ文化の更なる普及が求められています。

――当時、情報セキュリティの重要性は現在ほど切実な問題ではありませんでした。

 そうです。だから、その分野の人材が育っていないのも明らかでした。国も、行政も、企業も人材が足りない。だから大急ぎで取り組もうと思ったんです。

 9.11に対して、他の仕事に就いている人は別のことを考えたはずです。教育機関にいる私としては、大学院大学を設置し、情報セキュリティに係わる技術者の育成に取り組むべきだと思ったんですね。

経営者としての自分と、地元神奈川・横浜への思い

Photo――経営者としてのご自分は、何がいちばんの特徴だとお考えですか?

 いろいろな知り合いに恵まれていたことですね。それが、これまでやってこられた理由なんだと思います。なんとなく知り合いが増えて、うまく仕事につながってきたことが、幸いしていると思います。

――地元神奈川県、そして横浜に対して、とても思い入れがあるようですね。

 自分が住んでますからね。自分の住んでいる街を、悪くしたい人なんていないじゃないですか。

――横浜駅西口が学校の拠点になっていますが、西口には新しい家電量販店ができるそうですね。

 西口の活性化ということは常に考えています。これからは、次のデジタル化時代の旗手、デジタル家電やIT関連の店舗が来てくれるのがいいと思っています。そうすれば、人の流れが良くなるのではないかと。

 秋葉原に対抗するつもりはないんですが、横浜にデジタル家電の拠点をつくることは、神奈川県民、横浜市民にとってプラスになると思うんですよ。

――なるほど。ITで神奈川や横浜を活性化していくというお考えですね。

 そうそう。それに、購買層も、日本人だけじゃなく、いろいろな人が来る。IT特区という国際ITビジネス交流特区も、今は新横浜だけなんですが、横浜全域に広げられるんですよ。本格的にビジネス集積地で、国際化に取り組むことになると思います。

これからの企業にとって欠かせない、社会的な利益の創造

―― お話をうかがっていると、自社の利益だけでない、社会や企業全体の共存共栄という指向を強く感じました。

 企業の役割を考えたときに、自社の利益だけではなくて、社会的な利益を生み出しているかどうか。そこで評価される時代が来ると思うんです。

 利益に見合うだけの社会的な貢献度がないと、儲かった分安くしろと言われるでしょう。でも、その利益に見合うくらいの社会的な貢献をしていれば、その利益は当然だと。そういう時代になると思いますよ。そのバランス感覚が、今後の企業には大切だと思います。

――神奈川県の同じ経営者の方に対して、メッセージはありますか?

 そんな偉そうなことは言えませんよ(笑)。ただ、IT産業を含めて日本をリードしていくのは神奈川だから、ここの将来性を考えた上で、みんなで努力していくような形をとらないといけないと思いますね。すでに、みなさんそう考えてやっていると思いますよ。

―― 本日はお忙しい中、貴重なお話をたくさんいただき、誠にありがとうございました。

Photo取材を終えて

岩崎理事長の社会貢献や教育にかける情熱、そして地元神奈川への深い想いについて、多くのお話を伺うことができ、私自身、非常に有意義で貴重な経験をさせていただきました。最後になりましたが、御多忙の中、御時間を割いて頂いた岩崎理事長をはじめ、関係の方々に感謝・御礼を申し上げます。
本当に有難うございました。

株式会社NTT東日本-神奈川 法人営業部 門野 健一郎


AcademyOutline 学園概要
Photo 学校法人 岩崎学園
1927年、横浜洋裁専門女学園(現横浜fカレッジ)創立。1951年、学校法人岩崎学園に組織変更。現在、情報科学専門学校、情報科学専門学校新横浜校、横浜デジタルアーツ専門学校、横浜fカレッジ、横浜リハビリテーション専門学校など専門学校5校を経営。2004年、情報セキュリティ大学院大学を開設。
 
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