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トップの輪 経営者が語る企業経営とIT化

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お客さまの福利とIT化。これが急成長のキーワード。

第3回は、厚木市を拠点に、80近い店舗を全国展開しているカーポイントホールディングスの大久保社長にお話を伺いました。

大久保誠氏 大久保誠
1979年、日産系の販売会社に入社。退社後、1983年、神奈川県藤沢市にて有限会社カーポイント湘南を創立。1990年、株式会社に改組。1999年、株式会社カーポイントホールディングスを設立、代表取締役として現在に至る。もてなし料理を趣味とする、サービス精神旺盛なアイデアマン。
顧客の心をつかむために、アイデアの限りを尽くす

Photo―― この1年間で20以上もの店舗をオープンされたそうですね。

 おかげさまで、05年10月末日現在、弊社の店舗は全国で77店舗を数えるに至りました。しかし、まだ満足したわけではありません。近いうちに100店舗まで伸ばしたいと考えています。

―― 本日は、その「右肩上がり」の経営の秘訣を伺えるのでは、と期待してまいりました。

 秘訣というほどのものはありません。ただ、「お客様にとっての福利」とは何かを誠心誠意、考え、実現してきたという自負はあります。

 たとえば、今、自動車販売会社のショールームでは、キッズルームが当たり前のように設置されていますよね。それを業界で最初に取り入れたのは、弊社なんです。もう15年ほど前の話ですが、当時、商品である車を一台でも多く置きたい社員たちから、「スペースがもったいない」と訝しがられたものでした。

 しかし、この試みが大変な評判を呼んだのです。以来、お客さまに喜んでいただけそうなことは、何でもチャレンジしてみるのが私のモットー。今では店舗にアーケードゲームを置いたり、無料のドリンクコーナーを設置したり。おかげで、弊社の店舗にはお客さまが絶えません。

―― お客さま本意の発想がカタチになった、好例ですね。

 地域を限定すれば、もっと多くのサービスを提供していますよ。好評なものでは、無料の温水洗車がその例です。雪の多い地方では、融雪剤に含まれる塩素のため、車がさびやすく、こまめな洗車が欠かせません。肌荒れが気になる女性には、これはつらい作業ですよね。そこで、『弊社会員の方には、温水洗車機を無料で使っていただこう』と。灯油を使うだけに、原油価格が高騰している今、コストだってバカになりません。しかし、お客さまの喜ぶ顔を見るたび、「ムリをしてでも続けたい」と思えるサービスのひとつです。

 また、クルマを通じた社会貢献も、私たちにとって大切なテーマです。たとえば福祉車両の貸し出し。もともとは会員の方のためのサービスでしたが、たいへん好評だったため、今では一般の方でも広く利用できるようにしています。そのほかにも、地震や火山噴火などの被災地に車両を提供するなど、私たちにできることなら、喜んで取り組んできました。

目先の採算よりも、今なすべき大切なことがある

―― それだけのサービスを提供するには、さぞコストもかかるでしょう。正直な話、採算はとれているのでしょうか。

 採算はまったく合いませんね(笑)。先のアーケードゲームにしても、温水洗車機の無料サービスにしても、私たちの経営規模から見れば、大きな負担であることは間違いありません。

―― 身を切る思いで、あえてお客さまの福利にこだわる理由は、どこにあるのでしようか。

 もちろん、リピーターをつくりたいからです。ここまで努力して、はじめてお客さまは、店舗に「遊び」に来てくれるようになります。次の車も私たちの店舗で購入しよう、と思ってくれます。

 将来のことはわかりませんが、やがて消費税は引き上げられるでしょう。私たちにとって、リピーター獲得はその対策のひとつ。 ご存知ですか?いま、自動車販売会社のリピート率はメーカー系ディーラーで車を買い換える場合、約20%。一方、中古車販売ではわずか7%程度だと言われています。それが、弊社では37%まで伸びてきているんです。

―― 驚くべきリピート率。御社の熱意がお客さまに届いている証ですね。

 いや、私としてはこれを50%にしたい。そうできれば、中古車販売業のあり方として、ひとつの完成形といえると考えています。

ITにはいくら投資してもいい、という信念

Photo―― 御社ではIT化にも積極的と伺っています。具体的にはどのように活用されているのでしょうか。

 いまフル活用しているのが、テレビ会議システムです。私たちのような多店舗展開では、これは非常に有効ですね。とくに新入社員の研修には、なくてはならないものになっています。以前から弊社には、さまざまな地域や量販店などから、出店の要請が絶えませんでした。しかし、それに応えるための人材育成がボトルネックとなり、店舗展開のハードルになっていたんです。その問題をテレビ会議システムが解決してくれました。

 このシステムはNTT東日本のものですが、せめて、もう3年早く導入できていたら、今の私たちはもっと大きくなれていたでしょうね。これはお世辞ではなく、私の正直な実感ですよ(笑)。

―― お役に立てて光栄です。しかし、それも御社がIT化に積極的であったから果たせたこと。そもそもIT化への関心は、いつ、どのように芽生えたのでしょう。

 今から10年ほど昔にさかのぼります。その頃、私たちは相次ぐ車両盗難に頭を抱えていました。それはもう、保険では賄いきれないほど、多額の損失が出ていたのです。

 そこで決心したのが、ライブカメラの設置。当時はまだ適当な機材がなく、あるメーカーにカメラを開発してもらい、すべて有線でネットワークを構築しました。その投資額といったら!まさに「清水の舞台から飛び降りる」思いでした(笑)。
しかし、盗難防止の効果は絶大でした。このとき、私は「ITやシステムには、いくら投資してもいい」ということを学んだのです。

―― それ以来、IT化を推し進められることになったわけですね。

 続いて弊社が開発したのが、ネットワークを通じて在庫の画像が見られるシステムです。当時はパソコンもネットワークも、いま思えば驚くほど貧弱なものでした。メーカーのサイトでさえ、ほとんどテキストが中心だった時代の話ですから、隔世の感がありますね。

―― その画像つきコンテンツも、今やスタンダードになりました。まさに御社は時代を先駆けてきたわけですね。

 弊社のシステムも、ひとつの画像を開くのもずいぶん時間がかかったものです。それでも、私としては業界に一石を投じたと考えています。

そして今、新しいビジネスモデルの挑戦へ
Photo
お客さまと電話で話をしながら、リクエストに応じて見たい場所をビデオで撮影。お客さまはパソコンからリアルタイムで映像を確認できる。
―― IT化といえば、05年の秋、私どもではビデオカメラを使った映像配信システムを納品させていただきました。

 以前より、お客さまから「車の外観だけではなく、キャビンも見せて欲しい」という声は寄せられていたのです。今回、納品していただいたシステムは、お客さまのリクエストに応じて社員が個別に車室内の映像を撮影し、配信できるもの。弊社としても、このシステムに大きな期待を寄せています。

―― 今後、このシステムをどのように活用されるのか、私どもも興味があるところです。

 弊社では05年の冬より、新しいビジネスモデルを発表しました。
 これは一部の人にはよく知られている話ですが、弊社では多くの著名人に車をリースしています。その返還車両を販売しよう、というものです。もちろん、仮にプレミアが付いたとしても、弊社の利益にするつもりはありませんよ。そのぶんは、社会貢献のために活用させていただきます。

 このような車は、キャビンがどうなっているか知りたいのがファンの心理というものです。実は今回、導入した映像配信システムは、そのための伏線だったのです。特許の申請前でしたので、NTT東日本さんには詳細をお伝えできずに申し訳ありませんでした(笑)。

中古車販売業界の未来を、変えていきたい

―― 今回のお話で、御社の成長はさまざまなチャレンジの賜物であったのだと、つくづく実感できました。

 失敗したことも多々あります。でも、面白いと思ったことには果敢に挑戦してきたつもりです。なぜなら、ひとつには、それが私たちの企業価値を高めるために必要だったから。もうひとつは、中古車販売業界のイメージアップを図りたかったからです。

 たとえば整備だけを見ても、弊社の技術はディーラーさんに負けないものと自負しています。しかし、お客さまの立場で見れば、メーカー系のディーラーさんのブランドイメージや信用にはかないません。このような風潮を、何とか変えていきたかったのです。

―― 第三者から見れば過剰とも見える顧客サービスも、ITへの投資と意欲も、そのためなのですね。一見、無謀とも思える御社の取り組みも、実は必要不可欠なものだったのだとわかります。

 もともと私は、この業界にはもっと多くの可能性があるのではないかと思っていました。今、修理や車検、買い取り専業者の登場により、中古車販売業界は淘汰と再編の時期を迎えています。これは、見方を変えれば大きなビジネスチャンスです。独自の新しいサービスやIT活用法を見つけだせれば、お客さまはちゃんと理解し、ファンになってくれるはず。そう思うと、毎日の出勤が楽しみで仕方ありません。まるで、遠足を前にした子どもの心境です。

―― 業界の新しいあり方を発信する地として神奈川があること。同じく神奈川にある企業として、私どもも強い刺激を受けました。

 私がこういうことを言うのも僭越で恥ずかしいのですが、たとえば湘南という言葉には爽やかで明るいイメージがあります。私自身、カーポイント「湘南」という社名に助けられ、商談がスムーズに進んだことも少なくありません。そういったクリーンなイメージを伝えられれば、神奈川はひとつのブランドとして育てられるのではないでしょうか。そのための仕組みとしてITもありますからね。

―― これからの御社の展開が、ますます楽しみです。本日はお忙しいところ、本当にありがとうございました。

Photo取材を終えて

全国100店舗展開を目指し、お客さまに最良のサービスを提供することにこだわって豊富なアイデアを実行していく大久保社長の強い想いを伺うことができ、大変感銘を受けました。 最後になりましたが、お忙しいなか貴重なお時間をいただいた大久保社長に厚く御礼申し上げます。

株式会社NTT東日本-神奈川 法人営業部 鈴木 浩/湯沢 基文


CompanyOutline 会社概要
Photo 株式会社カーポイントホールディングス
1999年、カーポイント湘南グループを子会社に、日本初の純粋持ち株会社として設立。2003年、さらに効率的な経営形態を目指し、グループを再編。現在、株式会社カーポイント湘南と株式会社カーポイントクリエイティブをグループに擁し、300億円の連結売上高を誇る中古車販売会社。
 
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