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トップの輪 経営者が語る企業経営とIT化

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袖を通した瞬間、会社の代表になる。それが、ユニフォーム。

第7回は、ユニフォーム一筋に半世紀の実績をもつダイイチ様。豊富な経験と見識で業界をリードする鈴木一男社長にお話を伺いました。

鈴木一男氏 鈴木一男
株式会社ダイイチ
代表取締役社長
1942年、横浜生まれ。法政大学卒業後、広島のユニフォーム工場で実地に勉強。その後、渡米し1年間経営学を学ぶ。1967年、ダイイチ入社。69年専務取締役、86年代表取締役副社長。設立40周年の89年から現職。アメリカ時代はリュックをもって大陸を横断、さらにヨーロッパまで足を伸ばして見聞を広める。いまもチャレンジ精神は旺盛で、現在、仲間と「東海道五十三次を歩く」更には「シルクロードを旅する」試みを推進中。
「100%か0%」しかない、ユニフォーム・ビジネス
ユニフォームへの思い
(図をクリックすると拡大表示されます)

---ユニフォームは「会社の代表」と言われますが、一般の衣料品と異なるのは、どのような点でしょうか。

 最大の違いは、お客様が着用されていらっしゃる限り100%の対応が求められることですね。1000人の社員がいるとすれば1000着揃っていて当たり前。999着では99.9%ではなく、ゼロに等しいんです。例えば、入社式に一人だけユニフォームが間にあわなかったら、その人の気持ちの上でも会社にとっても大きなマイナスになってしまいます。お客様のご満足あってのビジネスですから、結果は100%か0%しかない、という気持ちで取り組んでいます。

 生産コストの関係からいま衣料品は海外生産が盛んですが、ユニフォームの場合は「間にあわなかった・品質に満足できないものが入っていた」では許されませんから、全面的な海外生産は難しい。当社が千葉にサービス工場をもっているのも、万一に備えて。たとえ赤字になっても、この体制は維持しつづけるつもりです。

---企画デザインから生産・販売まで一貫システムを構築されているのも、お客様の満足度向上のためですか。

 ユニフォームは企業や店舗の代表ですから、デザインや色、清潔感やフィット感まですべて含めたユニフォームの印象が、そのまま企業の印象になります。また、仕事のために着用するわけですから、着る人の安心・安全が重要ですし、効率や業績のアップにも貢献できるようなものであってほしいと願っています。ですから、お客様の業績が向上し、そのなかでユニフォームの存在が認められたときは、素直に嬉しいですね。さらに、お客様のお客様から「いいユニフォームだね」と褒めていただければ、もっと嬉しい。お客様の業種や環境、流行にマッチし、さらに社員の方にも満足していただけることが、社員や私にとっての喜びなんです。正直に言いますと、「この会社にこのデザインは合わないのでは」と感じられるケースもないわけではない。「お客様が気に入られたデザインだから」と、そのまま納入し、結果としてマッチしないものになってしまったら、それは、やはり妥協してしまった私どもの責任だと思います。

---ユニフォームへのニーズは、産業や業種によっても異なると思います。得意とされているのは、どのような分野でしょうか。

 当社は1951年にビジネスユニフォームやワーキングウェア、白衣の専門商社として創業しました。半世紀以上もの間ユニフォーム一筋に歩んできましたから、あらゆるニーズにトータルに対応できることも当社の特徴であり強みだと思っています。現在のお取引先は、官公庁や法人企業が中心。業種も一次産業からサービス業やアミューズメント企業まで、多岐にわたっています。特殊なものとしては、警察官向きの防弾チョッキや防犯ベストなども手がけています。ただし、学生服には進出しません。地元に学生服を専門にされている企業があるのですから、そこには配慮したいと思います。

---半世紀以上もユニフォーム一筋で歩んでこられると、心に残る出来事も多いのではないですか。

 心に残る出来事といえば、横浜中華街での火事がありますね。当社のお客様である老舗レストランが火事で消失してしまい、再建の際弊社のユニフォームを採用いただきました。その後の再建パーティにお招きをいただいたときのことです。オーナーが再建に協力した方にと感謝状を手渡されたのですが、そのなかに当社も入っていたんです。普通でしたら、建築会社など、直接再建に関わった企業に贈られるものでしょう。当社がいただいたことにとても感激しましたし、お役にたったんだと心から嬉しく思いました。

環境への対応は、重要な経営課題

---環境への取り組みも熱心だと伺いました。具体的には、どのような取り組みをなさっているのですか。

 ご存じのように地球の資源は限りがありますし、ユニフォームも例外ではありません。「人と環境との調和」は、当社の基本理念ですし、ISO14001を取得したように経営の重要課題の一つとして位置づけています。具体的な取り組みとしては、「リサイクル比率の向上」と「環境に良い商品の推進」があげられます。まずリサイクルに関しては、着用済みのユニフォームをできるだけゴミにしない。むしろ貴重なエネルギー源や素材として積極的に活用し、再利用していきたいと考えています。当社がユニフォームの管理事業に力を入れているのも、お客様の保管・管理の負担を軽減すると同時に、ムダを省くため。レンタル事業も同様です。再利用から再々利用へと、リサイクルの輪を広げていくことが、理想的なかたちだと思います。

 環境に良い商品としては、天然繊維やリサイクル素材があげられます。コストや着心地等の面でまだ難しい問題も多いですが、地道に取り組んでいきたいと思っています。

---効果という意味ではいかがですか。

 環境への取り組みを重視する企業が増えていますから、経営的な効果もあります。でも、それ以上に社員の意識面でのプラスが大きい。リサイクルを始める前は、地球環境なんて遠いことと思っていた意識が明らかに変わりました。現在は各部門からメンバーを選出し、プロジェクトチームとして取り組んでいます。

 もう一つ、お客様への対応という意味では、「ハサップ」も忘れてはいけませんね。衛生というのは非常に需要な要素ですし、一つ間違えたら企業生命を断たれることにもなりかねません。企業の取り組みも急速に進んでいますから、当社でも環境と同様、経営課題として取り組んでいます。

社内ではネット通販、社外では業界づくり 新しいことに積極的に挑んでいく

---最近、インターネット通販を始められましたが、反響はいかがですか。

 大手のショッピングモールにも出店していますが、当社としてはまだ立ち上がり期でいろいろ試している段階。これからというところですね。現在の売れ筋はテレビで紹介された両脇に超小型の扇風機をつけた空調服やナース用品、クールビズ関連。今後は、全般に広げていきたいと思っています。BtoCは当社にとって新しい分野ですから、吸収できるものも大きいのではないかとの期待もありますね。でも、ネット通販に関しては、若い社員に全面的に任せている。新しい発想をもつ若い人の方が、私よりずっと適任ですから(笑)

---事業という意味で目標にされているのは、どんなことでしょうか。

 ダイイチとしては、シェアナンバーワンと、メーカー機能の本格的な立ち上げですね。具体的な計画はこれからですが、ネット通販との連動や、他社が余り力を入れていないニッチな領域に特化していきたいと考えています。

 もっと大きな意味で目標にしているのは、ユニフォームの小売業界をつくりたい、ということなんです。意外に思われるかもしれませんが、ユニフォームの小売業界というのはあるようでないんです。販売・小売業は何千社もあるのに、規模の小さな企業が多いため、ネットワーク化やシステム化も個々に取り組まざるを得ないし、業界団体も存在していないのが実情です。業界団体がないということは、行政とのパイプ役がないということですし、中小規模の企業が一社でできることには限界があります。今年度中に「日本ユニフォーム小売業協会(仮称)」を設立し、受発注などのシステム化や社員の教育研修に共同で取り組める体制を実現したいと思っています。

「世界に誇れる神奈川」への期待

---全員で周辺清掃をされるなど、ボランティア活動にも熱心だとうかがいましたが。

 私は企業はただ在るのではなく、社会のなかで「活かされている」存在だと考えています。一社でできることはごく小さなことですが、やらなければ輪も広がっていかない。できる範囲で、まず実行することが大事だと思っています。具体的な活動としては、周辺清掃のほか、フィリピンからの留学生の支援とネパールの子どもたちへ筆記用具の送付、障害者施設や孤児院などに余ったユニフォーム生地を寄贈し、バザーの商品づくりに役立ててもらっていること、などです。海外向けの活動のきっかけは、当社を定年退職した人がネパールの現状を見て、筆記用具の寄贈を始めたこと。彼は60歳を過ぎたいまでも、毎年ネパールへ行っています。

---最後に地元神奈川への想いをお聞かせください。

 神奈川県は気候もいいですし、海や緑、水など自然環境に恵まれている上に都市機能も充実している。人間が住みやすいところだと思います。この環境をぜひ維持していきたいという想いがあります。神奈川はかつて京浜工業地帯の中心でしたが、現在では精密機器工場や先端的な研究施設など、世界に誇れる場になりつつある。世界のなかの神奈川であってほしいし、現にそうなりつつあると期待しています。

取材を終えて

この度は直接鈴木社長にお会いし、ユニフォームに対する熱い思いをおうかがいすることができて、非常に貴重な体験をさせていただきました。
既存のユニフォーム販売事業にとらわれることなく、インターネット販売という新しい分野への積極的な取り組みやユニフォーム業界をまとめていきたいというお考えをお聞かせいただき、私共としても非常に勉強になりました。
鈴木社長並びにご協力いただいた方々に御礼を申し上げるとともに、今後もダイイチ様がますますご発展されますよう、心よりお祈りしております。

株式会社NTT東日本−神奈川 横浜中営業支店 名取 紀雄、小田 有希

CompanyOutline 会社概要

株式会社ダイイチ
1951年、現在地に創業。「ユニフォーム事業を通じ、人と環境との調和を創造する」「人を第一に考え、つねにベストのサービスをめざす」を、使命とするコーポレイト・ユニフォームの専業企業。ユニフォームの企画・製造・販売・卸・小売、レンタルユニフォーム、リサイクルユニフォームの販売、回収の各事業のほか、インターネット通販にも進出。
 
→会社情報

※ハサップ
HACCP方式(Hazard Analysis Critical Control Point System)は、1960年代の米国アポロ計画で、宇宙食の安全性を高度に保証するシステムとして考案された製造過程管理の手法。日本では1995年の食品衛生法改正により、HACCPを基礎とした管理手法が法律として位置づけられた。

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